special interview vol.2
藤田伸/くり返し模様への尽きない探究心
SICF11で、ネズミやヘビ、トラなど十二支に登場する身近な動物をモチーフに、精巧でありながら温かみを感じさせる寄木細工の作品を発表し、「スパイラルマーケット賞」を受賞した藤田伸さん。
過去の作品に加え、干支を用いた新作プロダクトが登場する、藤田伸 「Repeat Art/リピートアート展」が、2010年10月28日(木)から11月9日(火)まで、スパイラルマーケットで開催されます。
制作活動や、展覧会で販売するプロダクトの商品化に関するお話などをうかがいました。
作品について
くり返し模様の仕組み研究をライフワークと位置づけ、マイペースな研究成果を著作や論文などに著してきました。
仕事場のボードには「凸五角形の平面充填」についての検証途中が貼りっぱなしになっていますし、他にも刺激的なトピックスがあり、まことに興味は尽きません。五角形は、平面を同じ形で敷き詰める(平面充填)うえで、数学の世界でも未だに全容が解明されていない形です。
その研究のなかで生まれたオリジナル図版のなかから、個人的に気に入っているモノを作品にしています。
制作活動のきっかけ
制作のきっかけは、息子が通園していた保育園が与えてくれました。新園舎建設にともない玄関記念プレートの製作依頼を受けたのです。このときに、木を糸鋸でカットして組み合わせるという、今のスタイルができました。実際にモノにすることで、ペーパー上の図版では得られない実体感があることを知りました。
普段はグラフィックデザイナーとして、主にロゴやブランドマーク、パッケージ、販促物などの制作をしています。他に専門学校の講師もしています。
商品化にむけて
私の図案を製品化するためには、高い精度が要求されます。糸鋸職人や型押し印刷などの試行錯誤を経て、レーザーマシン導入を決意しました。レーザーマシンが仕事場に来たのが9月初めで、それからは無我夢中で製作して、ギリギリ間に合ったというのが正直なところです。
商品化については(スパイラルマーケット)チーフバイヤーによる惜しみない指導を受けました。打ち合わせの度に私の想像を超えた提案が出され、どれも的確かつ具体的でした。これこそスパイラルマーケット賞の恩恵でしょうか、夢のような経験をさせていただき感謝の念にたえません。生まれたばかりのささやかな商品ですが、深いところに届くと嬉しいです。
【インタビュー:2010年10月27日 スパイラルにて】
SICF11スパイラルマーケット賞 藤田伸 「Repeat Art/リピートアート展」
Photo:波木孝夫(Takao Namiki)
会場: スパイラルマーケット(スパイラル2F)
会期: 10月28日(木) - 11月9日(火)
SICF11 で、ネズミやヘビ、トラなど十二支に登場する身近な動物をモチーフに、精巧でありながらどこか温かみを感じさせる寄木細工の作品を発表し、「スパイラルマーケット賞」を受賞した 藤田伸。繰り返し模様の仕組みの面白さに魅せられ、長年にわたりフェドロフ、エッシャー、 ペンローズなどをテーマに研究を重ねてきました。本展では、スパイラルマーケット内の展示スペースに過去の作品に加え、干支を用いた新作プロダクトが展示販売されました。
プロフィール
藤田 伸 (ふじた しん)
1982年 多摩美術大学デザイン科グラフィック専攻卒業。
フェドロフ、エッシャー、ペンローズをテーマにくり返し模様の仕組みを研究。
www.shinfujita.com
1999年 | 『連続模様の不思議』藤田伸著/岩崎美術社。 |
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2001年 | 日本デザイン学会年間論文賞。 図版収録・掲載:NHK 教育番組『マテマティカ第7 回くりかえしのまほう』他,多数。 |
2010年 | SICF11 にてスパイラルマーケット賞。 |