グランプリ
神楽岡久美 『光を摘む』
<作品について>
無数の光の粒は万物に反射し、【視力2.0の私の目】をうつ。意識より速く、目に見えない速度でそのカタチと色を伝えている。「見る・見える」について考えていたらふと、光ある世界で私は自分の意識で光の粒を摘み、それを束にした時、どんな世界が広がっているのか見てみたいと思いました。本作は、径2mm~10mmの丸い鏡の粒を使って、様々なパターンとサイズで制作されたシリーズ作品です。作品の前に立つと、鏡の粒は光によって認識される色の粒となり、思いもしない光景を見せてくれます。この作品は見る人に「光を摘む」体験を意図したものです。現在「光を摘む」から展開する映像、写真による次作品「光の記憶・世界の記録」を制作しています。
<受賞コメント>
私にとって公募展での受賞は初めてでした。これは1つの結果で、現在の自分の位置を確認できたました。だからこそ今よりいいものを制作していきたい。そんなキモチです。そして見に来てくださった方、応援をしてくださった方には感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます!
【略歴】
2012 武蔵野美術大学大学院 造形研究科 デザイン専攻 空間演出デザインコース 修了
2012-2014 玩具企画デザイン会社にて、玩具・雑貨の商品企画、開発、デザイン、展示空間ディレクターをつとめる。
2015 作家として活動を始める。
【主な受賞歴】
2008 「装苑」第83回装苑賞 入選
2012 武蔵野美術大学大学院 修了制作優秀賞 受賞
2015 SICF16 グランプリ 受賞
【主な活動】
2007 「” r u shinbi ?! ”」グループ展 (アートギャラリー&ショップ キアン/東京)
2009 津村耕佑氏キュレーション「DREAM CONSCIOUS かたちになりかけた夢」(YUKA CONTEMPORARY/東京)
2010 六本木アートナイト「津村耕佑による星空傘」にて星空傘制作 作品提供
2010 WINTER MARKET TOKYO CET AREA COLLECTION -HOME PARTY- 作品提供
2010 グループ作品展示(十和田現代美術館/青森)
2011 「sakiori-bu企画 裂織ワークショップ」企画(十和田現代美術館/青森)
2015 SICF16 出展(スパイラルホール/東京)
準グランプリ
上路市剛
<作品について>
私の作っている“人の形”は彫刻というよりは人形であるといった方が正しい。私は、高校、大学で“人体彫刻”というものを学びました。しかし、初期のうちからそれに対して違和感を抱いていて、人の形を作っているのに出来上がったものは現実の人とは大きく違っていることに嫌悪を感じました。そこで制作したのが今回出品した作品です。系統としては人形であり、幕末から明治期に作られた生人形(いきにんぎょう)に通じるところがあります。日本人がこの列島の風土の中で人物像の制作に取り組む態度として、生人形の在り方は非常に自然なことです。私の作品は西洋の彫刻を人形化させ、彫刻を別の次元へ引きずり出す。
<受賞コメント>
来年のGWには受賞者展示としてもう一度展示の機会をいただける。その際は皆様ぜひ足をお運びください。直接私の作品と対峙していただき、作品との距離感を、息遣いを感じて頂ければ幸いです。
【略歴】
1992 大阪生まれ
2015 京都教育大学教育学部美術領域専攻 卒業
2015 AMAZING SCHOOL JUR 在学中
【主な受賞歴】
2015 SICF16 準グランプリ 受賞
【主な活動】
2014 SICF15 出展(スパイラルホール/東京)
2015 個展「re:male」(京都)
2015 SICF16 出展(スパイラルホール/東京)
準グランプリ
宮ヶ丁渡 『温度の標本』
<作品について>
これらの作品はすべて一つの人型の版から作られています。人型の版木に絵具をのせ、画面に押し付けることで現れる人の姿は、絵具の粒子の 荒さや画面の凹凸によって様々な表情を見せます。それはまるで、投げかけた言葉によって変わる返答や、環境や立場によって決定づけられる振る舞いのようです。人は自分という存在を自分一人で定義することはできず、何かと交わることで初めてそこに一つの顔が顕在化します。そんな場面によって変わる、一人の人間の多面性を表現しました。使用している画材は日本画で使われている、和紙や岩絵具です。岩絵具は砂のように荒いものから粉のように細かいものまであり、版を押した時の表情の幅に繋がっています。言葉を選ぶように絵具を選び、その反応に 合わせて次の言葉(絵具)を考えます。まさに画面と対話するように制作しています。
【略歴】
2011 多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻 卒業
2013 多摩美術大学大学院博士前期課程美術研究科日本画領域 修了
【受賞歴】
2014 第50回 神奈川県美術展 入選
越中アートフェスタ2014 優秀賞
2015 公益財団法人 吉野石膏美術振興財団 「若手日本画家による展覧会助成」
SICF 16 準グランプリ 受賞
【主な活動】
2008 1/4. ヨンブンノイチテン(富山県民会館/富山)以降'09、'10
2010 遊美(タワーホール船堀/東京)
LIVE(アートスペースユーメリア/東京)
2011 油-日 展(GALLERY SHOREWOOD/東京)
2012 第3回 こめつぶつぶより展(山猫軒/埼玉)以降第4回、第5回
多摩美術大学大学院 日本画・版画合同展" トエハタエ"(佐藤美術館/東京)
碧い石見の芸術祭2012(三隅中央会館/島根)
2013 宮ヶ丁渡 展(アートスペース羅針盤/東京)
羅針盤セレクション2013「注目の作家展」(アートスペース羅針盤/東京)
未来の収穫祭'13(丸亀市生涯学習センター/香川)
2014 ※COME展7(藤屋画廊/東京)
ギャラリーへ行こう2014(数寄和ギャラリー/東京)
宮ヶ丁渡 展(アートスペース羅針盤/東京)
THE ART FAIR +PLUS-ULTRA 2014(スパイラルガーデン/東京)
2015 Whole Art Catalog(Gallery FACE TO FACE/東京)
STANZA(銀座ギャラリー向日葵/東京)
SICF16(スパイラルホール/東京)
アーホ!賞
amano yumi
<作品について>
一見綺麗に見える模様。しかしすべて、ゴキブリ、クモ、ハエ等の害虫の部分を用いて制作しています。今回これらのパターンを用い、インテリアとして展開し、部屋を再現しました。この作品の大きなテーマは、人間の「気持ち悪い」に対する固定観念と、見せ方によって生じる感覚の矛盾です。普段固定観念として抱いている感情に邪魔をされて気づけないことは多くあります。この作品はそんな人間の感覚への問いかけでもあります。
<受賞コメント>
SICF16は、今までデザインという枠の中にいた私が初めて"アート"に向き合う挑戦でもありました。展示中は、来場者が害虫に気づく瞬間を間近で見ることができたことが特に新鮮で、今後の展開に様々な可能性を感じました。これからも芸術を通じて概念をひっくり返していきたいと思います。
【略歴】
2013 武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科卒業
【主な受賞歴】
2011 World Space Creators Awards 優秀賞
2013 武蔵野美術大学デザイン情報学科 卒業研究・制作展 学科賞
佐藤尊彦賞
村田実莉『curved way of swimming』
<作品について>
「curved way of swimming = 曲がった泳ぎ方」という自由に曲げられるアクセサリーの展示販売を行いました。針金とホースを合わせた素材を用いて日々の服装や気分に合わせてスタイリング出来る楽しさを提案しました。この作品ではアクセサリーのプロモーションのシューティングを行いアクセサリーの持つ独特の世界観をビジュアル化。展示ではその写真や他活動した雑誌なども合わせて複合的に展示しショップをイメージしました。
私はアイデアのある物作りとビジュアルの構築に興味があります。
今後はアクセサリーの制作、販売を軸に活動していきますが、加えて夏にはバンドの衣装提供やディレクションの仕事もあります。一人だけで出来る事は本当に少なくて様々な人と一緒に協力して面白いもの、新しい美意識を提案していきたいと思います。
<受賞コメント>
来場者の方々にはアクセサリーを実際に触っていただいたり、写真を見ていただく事を通じて世界観を感じてもらいながら楽しめる展示を心がけていました。作品の制作から展示当日まで沢山の方に協力していただき、その結果が受賞という形に繋がり皆さんに感謝しています。これから更に精進して参ります。
【略歴】
2015 多摩美術大学 生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻在学中
紫牟田伸子賞
小池奈緒 『外楼一拝「金槌」一分十八秒』
<作品について>
ひとつの演目における落語家の分裂の記録。
「落語家の自己はたがいに他者性を帯びた何人もの他者たちによって占められ、分裂する。」(藤山直樹著『落語の国の精神分析』)という一節からこの作品を作りました。ひとつの演目を演じている落語家の様子を、演目時間分ずっと写真で記録し、その写真からひとつの3dモデルにむりやり制作することで、そこで起きる落語家の変化や分裂をひとつのかたちとして落とし込むことを試みました。データを出力し、現実の”モノ”として演目時間にかたちを持たせることによって、それまで見えていなかった落語のかたちを表象化させることへアプローチした作品です。
<受賞コメント>
まだまだ荒削りな作品だと自覚していた為、賞を頂けたことには本当に驚きました。次に繋げられるように頑張ります。ありがとうございました。
【略歴】
2015 多摩美術大学 情報デザイン学科 メディア芸術専攻 在学中
【主な受賞歴】
2015 SICF16紫牟田伸子賞
【主な活動】
2013 smart illumination 2013 アワード(象の鼻テラス/神奈川)
2014 sél_2 多摩美のメディア芸術(AXIS Gallery/東京)
2015 SICF16(スパイラルホール/東京)
三木あき子賞
瀬川辰馬 『陶葬』
<作品について>
『陶葬』は、提供者の方々から譲りうけた「壊れてしまった記憶の品」を粉砕し、釉薬の着色剤として再利用したうつわのシリーズ作品です。
粉砕→焼結というプロセスを通じて、あらゆる元素たちがかたちを変えながら再結晶を繰り返していく、謂わば<唯物論的な輪廻>のプロセスを提示すると同時に、その物質的な原理の只中に於いて、人間の記憶や感情といったものはどのように抱き留めることが可能かを模索する意図のもと、制作しました。
<受賞コメント>
SICFという、百鬼夜行の賑やかな展示空間に於いて自分の作品が受賞に届いたことを自信にしながら、今後も工芸と現代美術の汽水域で制作に励んでいきたいと思います。
【略歴】
2013 多治見市陶磁器意匠研究所 デザインコース 修了
2015 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 エクスデザインプログラム 博士課程 在学中
【受賞歴】
2015 第59回ファエンツァ国際陶芸展 入選
2015 SICF16 三木あき子賞
【主な活動履歴】
2014 KEA2014(那珂川町全域/栃木)
2014 個展 瀬川辰馬展 陶葬(undō/東京)
2014 大館・北秋田芸術祭 2014「里に犬、山に熊。」(大館市・北秋田市全域/秋田)
2015 SICF16(スパイラルホール/東京)
2015 The 59th Premio Faenza(International Museum of Ceramics in Faenza/イタリア・ファエンツァ)
皆川明賞
FUKILAU 『Hollow Wooden Surfboard』
<作品について>
サーフボードをただの道具ではなく一つの作品としてより多くの人に見てもらいたいと思いました。サーフボードというのは、水の抵抗や流れをすべて考えてできた綺麗な曲線により構成されています。木は切られてもなお呼吸をし続け、自然からの命と力を借り、絶対的な曲線と構造、見ているだけでも綺麗と思わせれるようなサーフボードになるように制作をしています。
<受賞コメント>
今回の展示でサーフィンをやっていない人など様々な人と話しをする事ができ、いろんな意見が聞くことができました。より多くの意見を聞くことが目的だったので賞までいただく事ができたのは、とても嬉しかったです。
【略歴】
2014 東京造形大学グラフィックデザイン学科 卒業
2014 東京造形大学クラフィックデザイン学科助手 就任
【受賞歴】
2014 東京造形大学卒業制作展 造形賞受賞
2015 SICF16 皆川明賞受賞
【活動】
1994 サーフィンを始める
2014 個展(SLOW BOAT CAFE)
2015 SICF16(スパイラルホール/東京)
スパイラル奨励賞
後藤宙 『Twisted Synapse』
<作品について>
本作品では「デジアナ」や「内と外」という対立項をテーマに、3Dデータを想起させるような空間を構成しました。ブース内に張り巡らされた無数の糸は、捩れながら曖昧な境界をつくりだします。この境界は見る人の目を撹乱し、その奥や手前を同じ空気でありながらも「内と外」「あちら側とこちら側」と捉えてしまうような感覚を引き起こさせます。自分はこの不思議な奥行きを感じることこそ、2Dの画面では味わえないリアルで豊かな空間体験だと考え、この空間にモニター越しに見る「あちら」と「こちら」とは違った、実空間の内と外を感じる身体性を取り戻してもらいたいという願いを込めました。
<受賞コメント>
展示を通じて、とてもためになる感想やアドバイスをいただき、本当に嬉しく思いました。また、今回の受賞で自分が芸術と向き合ってきたことがやっと少し浮かばれたような気がしています。これを糧に、これからもさらに自分の表現や芸術と向き合っていこうと思います。
【略歴】
1991 東京都世田谷生まれ
2015 東京芸術大学美術学部デザイン科 在学中
【受賞歴】
2014 ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITION 2014入選
2014 リキテックス アート プライズ 2014入選
2015 SICF16 スパイラル奨励賞
【主な活動】
2013 アートラインかしわ関連企画:グループ展「せん」参加(柏髙島屋ステーションモール/千葉)
2014 グループ展「CROSSFEEDBACK」企画・出展(銀座 ギャラリー悠玄/東京 )
2014 共晶点(柏髙島屋ステーションモール/千葉)
オーディエンス賞
関川こうじ 『いきもの』
<作品について>
幼い頃から興味のある生き物を、なじみ深い画材で描いた。使用画材は色鉛筆やサインペン等、誰もが一度は手にした事のあるもの、カブト虫や金魚は誰もが一度は目にした事がある生き物だ。僕はそれら身近にある(いる)ものに興味があり、今回の作品を制作するに至った。描いたカブト虫は自ら採集し観察したもので、20年以上昆虫を飼育している経験からカブト虫が最も魅力的に見える構図で描いた。なじみ深い生き物を誰もが使った事のある画材で描く事で、幅広い年齢層の方から興味を持って頂けたのかと思う。
<受賞コメント>
また生き物の中に見え隠れする「迫力」や「美しさ」を届けることが出来たのだと思う。オーディエンス賞はとても価値のある賞だと受け止め、今回の受賞に感謝し発展していきたい。
【略歴】
2011 東洋大学 ライフデザイン学部 人間環境デザイン学科 卒業
【受賞歴】
2012 株式会社 プランニングオフィス エスエムエス主催 ふしぎアート展2012 入選
2013 株式会社 プランニングオフィス エスエムエス主催ふしぎアート展2013入選
【主な活動】
2012 ふしぎアートグランプリ展in東京タワー(東京タワー・フットタウン4F/東京)
2014 ふしぎアート展(イオンモール各務原/岐阜)
2014 関川こうじ展(ギャラリー澄光/東京)
2015 SICF16(スパイラルホール/東京)