SICF15 グランプリアーティスト展
山本優美 『うつしみ』
会期: 2014年10月25日(土) - 10月27日(月)
会場: ショウケース(スパイラル1F)
主催: 株式会社ワコールアートセンター
企画制作: スパイラル
所有者の時間と想いを緻密に彫り込んだ陶作品
今年5月に開催した「SICF15」(スパイラル・インディペンデント・クリエーターズ・フェスティバル)に於いて参加100組のクリエーターの中からグランプリを受賞した山本優美(やまもとまさみ)による個展『うつしみ』をショウケース
(スパイラル1F)で2014年10月25日(土)?27日(月)に開催しました。
何の変哲もない日用品をモチーフとし、粘土を本物と見紛う程に精巧に手作業で象り、硬く焼き上げた作品の数々。柔らかな肌触りを連想させるモチーフが凍り付いたかのように永遠に形を定着させられ、同時に陶器特有のもろさを纏ったその姿は、かつてそれを身につけていたであろう持ち主の哀歓を醸し出します。山本優美は、焼く事により形を留める陶器を「記憶のメディア」として捉えています。日常的なモチーフを詩的な表現でアートへと昇華し、そして極めて工芸的な技術の高さが評価され「SICF15」グランプリに輝きました。
今回の個展では初めて、作家本人と深く関わりを持つ自身の祖母の持ち物をモチーフとし、祖母のライフストーリーを重ね合わせ、時間と想いを丁寧に彫り込んだ新作が並びます。展覧会タイトル『うつしみ』は、'この世に生きている身(現身(うつしみ))'を意味し、現代に生きる人の痕跡を「記憶のメディア」で浮き彫りにすると共に「映し」、「移し」、「写し」といった同音の語から制作の裏側にある意図を彷彿とさせます。
「SICF15」受賞者一覧はこちらからご覧いただけます。→/archives/sicf15/02-5.html
プロフィール
山本 優美
【略歴】
2007 金沢美術工芸大学 美術工芸学科 陶磁専攻卒業
2009 ベルギー国立ラ・カンブル美術大学セラミックコース 修士課程修了
2011-2014 金沢卯辰山工芸工房 技術研修者
【主な受賞歴】
2009 国際工芸・デザインコンペティション Talente2009 ベストアーティスト賞
2013 次世代工芸展 入選
2013 広島市現代美術館ゲンビどこでも企画公募2013 橋本麻里審査員賞
2014 SICF15グランプリ
【主な活動】
2009 個展MasamiYAMAMOTO(Galerie de L’o/ブリュッセル)
2009 Talente2009(ミュンヘン国際クラフトメッセ/ミュンヘン)
2011 Objets#Contre-objets(イアンスルヴィシ美術館/ルーヴィエール・ベルギー)
2011 Kick Ceramic !(ヴォンデルハル文化センター/ブリュッセル)
2012 個展「空気の記憶」(ギャラリー点/金沢)
2013 次世代工芸展(京都市美術館/京都 )
2013 SICF14(スパイラル/東京)
2013 ゲンビどこでも企画公募2013(広島市現代美術館/広島)
2014 去無存菁(富貴三義陶園ギャラリー/台湾)
2014 SICF15(スパイラル/東京)
ポートレート撮影:市川勝弘