リアルな世界の違和感

2007年5月に開催したSICF8でグランプリを受賞したアーティスト、佐藤誠高の個展を開催しました。

人物の顔の半面をそのまま反対側に反転させてできる顔を描く。もう一方の半面も同様にして、ひとつのポートレートに仕上げる。このプロセスを経て、一見写真とも見間違えるほど高度な技術で描かれたシリーズ作品で、佐藤はグランプリを受賞しました。写真と絵画というメディアの間を往還し、人工的に加えられた歪曲によって生じる「ズレ」が、真実と写実、現実と錯視、鏡像と反復というさまざまなアートをつなげる要素を含有することが高く評価されました。 本展では女子高生と赤ん坊をモチーフに描かれた新作3点が展示されました。

作家コメント

「写真ー絵画」、「現実ー非現実」、「自然ー人工」、といった対極的にあるそれぞれの項目の境界を曖昧なものとし、ひとつの世界・ひとつのものの中にバランス良く融合されることを意識して制作しています。それぞれの項目のどちらの意味とも解釈できる、またはどちらとも言い切れない微妙なバランスで融合させることにより作品の中に、違和感、曖昧さ、矛盾、歪み、などといった抵抗感が表出するのではないか。赤ちゃんや女子高生のような活発で無邪気なイメージを題材にすることで、より違和感が強調されるのではないか。

プロフィール

佐藤誠高（さとう なりたか)

1980年愛知県生まれ

2006年	東京藝術大学美術学部デザイン科卒業 現在 (2007年) 東京藝術大学大学院2年

【個展及びグループ展歴】

2002年	GEISAI2 出品
2003年	グループ展 (アートスペース羅針盤 京橋）
2007年	グループ展 (新星堂 青山) 第8回SICF 出品

【賞歴】

2002年	GEISAI2 リキテックス賞受賞
2007年	SICF8 グランプリ受賞

Photo: Katsuhiro Ichikawa