SICF7 グランプリアーティスト展
松田直樹 『大和撫子』
会期: 2006年10月28日(土) - 10月31日(火)
会場: ショウケース(スパイラル1F)
主催: 株式会社ワコールアートセンター
企画制作: スパイラル
リアルな世界の違和感
2006年5月に開催したSICF7でグランプリを受賞した、松田直樹の個展を開催しました。
グランプリを受賞した松田直樹の作品は、「エプロン」と題する、レース生地に米粒を貼り付けたエプロン。一見すると巨大な白いエプロンに思えるその作品は、近づいてみると全面に米粒がぎっしり貼り付けられています。「米」という日本人にとって懐かしく感じる素材を、食卓のシンボルであるエプロンに貼り付けるというユニークなストーリー性、そして作品群の中でも群を抜くその際立つ作業量と集中力などが審査員の高い評価を獲得しました。 グローバルな感情が散漫する現代において、小さな単位では気づくことのない存在感の積み重ねにより次第に明らかになるストーリーの全貌。松田の緻密な制作過程は、その事実を実証しています。
本展では人間の髪の毛で作られた幅1.8m×高さ2.6mの巨大なワンピースと、クラフト紙で作ったベースにほこり、魚の骨を付けて作った猫の作品が展示されました。髪の毛一本一本で輪を作り、繋げてワンピースの形に仕上げていくという、シンプルかつ膨大で繊細な手作業。そこで松田がこだわるものは、「髪の毛」に表象される人々の欲望です。「ヘアサロンなどが多く立ち並ぶ、ファッションの街である青山に存在するスパイラルで、人間の持つ"きれいになりたい"という欲望や執着を表現したい」と松田は語ります。 シンプルな素材が集積することによって隆起する、欲望の輪郭。その存在感に対する新しい感じ方とわたしたちの関わり方を、松田は鑑賞者に提示します。 今回の作品「大和撫子」は実際に、スパイラル6Fにあるヘアーサロン「SPICE」で切られた髪の毛を使用しました。
プロフィール
松田直樹 (まつだ なおき)
2003年 | 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻入学。 同年、取手の壁画プロジェクトボランティアに参加。 |
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2004年 | 久米賞受賞 (東京芸術大学立体工房にて受賞者展) |
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2005年 | グループ展「彩の会3」(ギャラリー採光舎) サムホール展 (浦和岸町コミュニティーセンター) 取手サイクルアートフェスティバル参加 (取手競輪場) 「リンゴ美術館展」(ギャラリー採光舎/アップルミュージアム) 「納豆展」(デザインフェスタギャラリー/東京) GEISAI7 (東京ビッグサイト/東京) グループ展「彩の会2」 (埼玉会館/埼玉) |
2006年 | 高橋藝友会賞受賞 SICF7 (スパイラルホール/東京)グランプリ受賞 「リンゴ美術館展」(ART LABORATORY R3/群馬) 「ほこり猫」(ギャラリーDEX/関内) 「ストリート!2006」展 (Break Station Gallery/東京) |
Photo: Katsuhiro Ichikawa